MTシステム問答・入門編⑤

ちょっと待って。文字を読む場合は、5に共通する性質とか、あるバランスの範囲内とか言っていたけど、弁当の場合には何が共通と考えればいいの?弁当の売上数には、「これがちょうどいい売上」なんてないよね。

そうですね。店にとっては、「ちょうどいい売上数」などありません。「たくさん売れる」ことがいいに決まっています。しかし、現実はそうではありませんから、ここでは「普通の売れ方」を考えます。普通の売れ方を、5と読める文字に対応させて考えます。

普通の売れ方・・・

普通の売れ方というのは、そのコンビニにとって、通常の売上数と考えられる状態と考えます。

平均値という意味?

平均値あるいは平均値に近い売上状態でもいいです。計算した結果に基づいてもいいし、ホリエモンの「想定の範囲内」でもいいです。ここは、コンビニの店長さんが決めなければなりません。5と読める文字かどうかを人間が決めるのと同じです。普通の売れ方のときに「共通する性質」がわかればいいのです。そうすることによって、共通する状態から逸脱することが予測されれば、それは弁当が普通の売れ方と違うということになります。

普通の売れ方と違うと言っても、じゃあ、売れる場合も売れない場合もあるということ?

そうです。普通の売れ方に共通する性質と異なるという状況には両方があります。

でも、それでは弁当をたくさん仕入れたらいいのか、少なくすべきかが分らないじゃない。

そうです。文字の場合は、5と読めるかどうかだけの判断でよかったのですが、弁当の売上予測の場合には、普段より多く売れるのか少ないのかがもう一つ重要な点になります。

ちょっとややこしいね。間違えると大損する。多いのか、少ないのかはわかるの?

はい、わかります。詳しいことは改めて説明しますが、今は第一段階として「普通の売れ方と違うかどうか」だけを考えたいと思います。

わかった。でも難しいな。普通の売上、つまり想定の範囲内の売上か。

パターン認識はコンピュータが自動的に計算することだとは言っても、コンピュータに初めに正しいデータを与えるのは人間です。「正しいデータ」をどうやってきちんと整えるかが、大切な点です。弁当売上の場合、「普通の売れ方」なり「想定の範囲内」をどれだけきちんと定義できるかが大事です。つまり、パターン認識は前もってデータを揃えるところがかなり大切です。

親のモラルが子に伝わるということだね。そう考えると、子供をきちんと育てるために親がしっかり頭を使えということだね。

そうですね。親が人間としての普遍の道徳を子供に教えることが重要なのと同じです。

なんだい、パターン認識は道徳とも関係があるのかい?

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